2017.09.11 (月)
有酸素運動をすると筋肉は落ちるのか?
2024.09.04 (水)
体重を減らしたい・痩せたい
そのようなお悩みに回答します。
有酸素運動というのはウォーキングやフィットネスバイクなど、低強度で長時間行う運動のことです。
脂肪燃焼の効果が高く、ダイエットをしている人におすすめの運動です。
しかし、トレーニングをしている人の中には「有酸素運動をすると筋肉も落ちるからやらない方がいい」という意見もあります。
そこで今日は、有酸素運動をすると本当に筋肉が落ちてしまうのか、実際の研究データと私の見解をお話します。
目次
やりすぎなければ筋肉は落ちない
有酸素運動で筋肉が落ちるかどうかは、運動の強度・時間・栄養状態・個々の体質などによって異なります。
数時間にわたるマラソンなど、長時間の有酸素運動となると筋肉の分解も進む可能性が高まります。
そのため、有酸素運動で「筋肉が落ちる」ということは実際にありえます。
しかし、60分以内の有酸素運動であれば「脂肪」を主なエネルギー源として使います。
なので、一般的なダイエットであれば、有酸素運動を取り入れることをおすすめします。
スポーツジムや宅トレでは、60分以内の有酸素運動を行う方が大半なので、筋肉が落ちることはそれほど心配しなくていいでしょう。
何分以上行うと筋肉が落ちる?
では実際に、どれくらいの有酸素運動をすると、どれくらい筋肉が落ちるのかについて、3つの研究データを紹介します。
研究1.中強度の有酸素運動
内容 | 中強度の有酸素運動を8週間にわたって実施した被験者を対象に、筋肉量の変化を調査。 |
---|---|
結果 | 有酸素運動のみを行ったグループでは、わずかに筋肉量が減少したが、筋力トレーニングを併用したグループでは筋肉量が維持または増加した。 |
データ | 中強度の有酸素運動(週5回、1日45分)を8週間行うと、筋肉量の減少は約1-2%程度 |
研究2.長時間の有酸素運動
内容 | マラソントレーニングを行うアスリートを対象に、長時間の有酸素運動が筋肉分解に与える影響を調査。 |
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結果 | グリコーゲンが枯渇するまでの非常に長時間の運動(2時間以上)では、筋肉のアミノ酸がエネルギー源として利用され、筋肉の分解が増加した。 |
データ | マラソン訓練(週4回、1回2時間以上)を12週間行うと、筋肉量の減少は約3-4%程度 |
研究3.栄養と有酸素運動
内容 | 適切な栄養摂取(特にタンパク質)と有酸素運動の組み合わせが筋肉量に与える影響を調査。 |
---|---|
結果 | 高たんぱく質食を摂取しながら有酸素運動を行った被験者は、筋肉量の減少が少なくなり、むしろ筋肉量の維持または増加が見られた。 |
データ | 高たんぱく質食を併用した場合、有酸素運動(週5回、1日45分)でも筋肉量の減少はほとんど見られず、むしろ筋肉量が増加することもある。 |
筋肉を維持するための筋トレ量
有酸素運動で筋肉を落としたくない方は、以下のトレーニング量を参考にしてください。
まず筋トレは週2~3回行います。
筋肉は1日鍛えたら2~3日休んで、また1日鍛えたら2~3日休むというサイクルが基本です。
超回復の原理といいますが、鍛えた筋肉が修復される過程で強くなるので、このサイクルが理想です。
週1回の筋トレだとあまり筋肉の成長は見込めないので、できれば週2~3回は行います。
1回あたりのトレーニング時間は45~60分くらいを目安にします。
胸・背中・腕・肩・脚などの主要部位を鍛えると少なくても45~60分くらいにはなると思います。
負荷も、MAX重量の70~80%くらいの負荷で、8~12回行います。
たとえば、50㎏のバーベルを持ち上げることができるなら、35~40㎏くらいの重さに設定して、8~12回行います。
筋肉量は1ヶ月でどれくらい増やせるか?
先に紹介した研究データで「中強度の有酸素運動を8週間行うと、筋肉の減少は1~2%だった」とありました。
この1~2%の減少はどれくらいで取り戻せるのかが気になるところだと思います。
フィットネス業界では「1ヶ月で増やせる筋肉の量」を下記のようにいいます。
初心者 | 1~1.5% |
---|---|
中級者 | 0.5~1% |
上級者 | 0.25~0.5% |
体質など個人差はありますが、初心者ほど伸びしろがあり、上級者になるほど筋肉を増やせる量が少なくなっていきます。
ジムに通い始めたばかりの方は数ヶ月でも見違えるように体が変わっている人が多いです。
ある意味、ボーナスタイムみたいなものです。
よくSNSやテレビなどでも、芸能人の方のビフォーアフターが注目されたりしますよね。
今までトレーニングをしていなかった方が集中して筋トレすると、本当に別人レベルで変わることがあります。
逆に何年もジムに通っている上級者の方ほど、1年を通してもなかなか大きな変化は出にくくなっています。
実際にボディビルダーやフィジーク選手のような方の、1年前の体と現在を比較しても、おそらく素人にはわからないくらいの変化だと思います。
そのように「どれくらい筋肉を増やせるか?」というのは、トレーニング歴や熟練度によって異なります。
リスク許容度
ここで大切な考え方を1つ紹介します。
ダイエットに限らず、どのようなことにもリスクやデメリットもあります。
そのリスクやデメリットを自分がどれだけ許せるかが重要です。
それを「リスク許容度」といいます。
たとえばあなたがボディビルをやっていて、「せっかくコツコツと積み上げてきた筋肉を少したりとも減らしたくない」というのであれば、有酸素運動は控えた方がいいかもしれません。
逆に、数パーセントの筋肉の減少は覚悟の上で、それ以上に「痩せたい」「脂肪を落としたい」という気持ちが強いのであれば、ダイエットに有酸素運動を取り入れるのもありです。
どうなりたいのか、何を大事にしているのかは人によって異なるので、「有酸素運動による筋肉の分解」を自分がどれだけ許容できるかで考えてみてください。
まとめ
有酸素運動による筋肉の分解や減少は、「運動の強度」「持続時間」「栄養状態」などによって異なります。
一般的には、適度な有酸素運動では筋肉の減少は少なく、適切な栄養摂取と筋力トレーニングを併用することで、筋肉の維持または増加が期待できます。
よほど長時間の有酸素運動を行っていたり、わずかな筋肉減少にも抵抗がある方は、有酸素運動を控えめにすると良いでしょう。
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ジムインストラクターであり、『ダイエットは目標設定が9割』などダイエット・健康本の著者でもある武内教宜による実践的なノウハウとサポートです。
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プロフィール:武内教宜
1985年生まれ。埼玉県出身。ジムインストラクター。運動指導歴15年の経験から、40代のオトナ女子・男性がもう一度輝く「セカンドフィットネス」をコンセプトに活動。専門分野は加圧トレーニングを用いたダイエット指導。
著書「ダイエットは目標設定が9割」をはじめ、ダイエット・健康本を多数出版。Amazonカテゴリー1位を獲得。Webライターとしても活動し、東洋経済オンラインやYahoo!ニュースなど大手Webメディアで記事を執筆。スポーツ専門学校の非常勤講師として学生向けの加圧トレーニング授業も担当。
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